導入事例

天草市 新庁舎におけるワンストップ総合窓口開設

自治体紹介

 天草市は本渡市・牛深市・有明町・御所浦町・倉岳町・栖本町・新和町・五和町・天草町・河浦町の2市8町が合併し、平成18年3月27日誕生しました。熊本県南西部に位置し、周囲を藍く美しい海に囲まれた天草上島と天草下島及び御所浦島などで構成する天草諸島の中心部に位置しています。面積は、683.78平方キロメートルで県内最大を誇ります。地形は、そのほとんどが山林で占められ、急峻で平野部は少なく、河川沿いの平地部や海岸線の河口部に市街地や農地が展開し、市街地を結ぶように海岸線沿いに国・県道等が配置・整備されています。産業は、温暖な気候を活かした農業や、豊かな水産資源を活かした漁業を主として発展してきました。また、自然景観、南蛮文化やキリシタンの歴史など、多くの観光資源にも恵まれています。

 総面積:683.78平方キロメートル
 総人口:79,843人(令和元年10月31日時点)
 世帯数:36,943世帯(令和元年10月31日時点)

天草市のホームページ : https://www.city.amakusa.kumamoto.jp

ワンストップ総合窓口検討の背景

 令和元年6月に新庁舎で業務をスタートさせた天草市では、それを機会にワンストップ総合窓口を開設しました。検討にあたっては、平成24年7月から総合窓口を検討するプロジェクトチームを設置し、新しい市庁舎での窓口の形態や、人員配置、システム導入の方向性などを協議してきました。先進事例の視察や様々なパターンの窓口形態を研究し、その結果、『ライフイベントに係る窓口については、市民が移動することなく1か所ですべての手続が可能な「職員派遣型」によるワンストップ「総合窓口」とする。但し、専門性の高い分野については職員誘導により関係窓口へ案内する。』という結論を得て、事業を推進していきました。ワンストップ総合窓口の開設にあたっては、その設置に不可欠な総合窓口システムの導入を図ることも取り決められました。


天草市役所 新庁舎

ワンストップ総合窓口の特長

 諸証明発行窓口と別に、ライフイベントに係る住民異動届受付窓口として来庁者が移動することなく1か所ですべての手続が可能な職員派遣型による総合窓口を新設し、総合窓口システムを活用することで、「書かない」「迷わない」「待たせない」等住民サービスの向上を図りました。同時に総合案内所も充実させ、新たにフロアマネージャーや外国語にも対応可能な人材を配置しました。

ワンストップ総合窓口開設にあたって設定した効果

 さらに、市民課で対応できる業務を他課より移管し、窓口対応をさらにスムーズにするための取組も進めました。「国保や介護関係の保険証交付や回収、申請受付など他課の業務の一部を移管するということで、当初は不安もありましたが、特に問題なくスムーズに対応できています。」(吉村様)

庁舎建設やシステム導入において苦労された点

 検討段階においては、総合窓口で取り扱う業務の選定に苦労したとのこと。「様々な部署が関連するため、意見のとりまとめが大変でした。実務を行う市民課と、事務を依頼する担当課との考え方の違いをすり合わせていくことに苦心しました。そういった場合には、当初設定した総合窓口開設の目的や、効果をどう実現するのかということに立ち返って、検討を進めました。」(佐藤様)
 システム導入においては、システム設定前に1年半をかけて現行事務の棚卸し及び分析、要件確認を行いました。「総合窓口の捉え方が人によってバラつきがあり、まだ形のない新庁舎をイメージしながらの要件確認を行う必要があり、かなり不安でした。ただ、これまでにシステムを導入された自治体の要件を参考にしながら事務を組み立てていくことができたので、一から考えるよりも手間を省くことができました。実際の事務をイメージし、どのような問診が必要となるのか、どういった処理の順番が効率的なのかなど、最適な事務の流れの組み立てに十分な時間をかけることができました。システムの操作性は現在利用している住基システムと同じだったので、操作を覚えるのにかかる時間は短くて済みました。」(玉田様、中山様)
 リハーサルの段階でも様々な苦労があったとのこと。約1か月をかけて市民課をはじめ総合窓口に関連するすべての担当課の担当者及び非常勤職員に参加してもらい、旧庁舎及び新庁舎でリハーサルを実施しました。「実際に市民が来庁してからの動線をイメージするため、庁舎の正面玄関から来庁者が入ってきたところからの、リハーサルを行いました。全体リハーサルでは、各課の担当者が参加していますので、なるべく他課を巻きこんだ展開になるように処理内容を想定し、他課からの派遣が必要なケースでは、実際の担当者に来てもらいました。市民課以外にも自分事として意識付けでき、スムーズな開庁につながったと思います。通常業務と並行してのリハーサルだったので調整が大変でしたが、しっかりと準備できて本当に良かったと思います。」(新木様)


全体リハーサルの風景

ワンストップ総合窓口の効果

 ワンストップ総合窓口の開設によって、「書かない」「迷わない」「待たせない」といった住民サービス向上が図られています。さらに住民サービスの向上にとどまらず、職員負荷の軽減につながる多くのメリットがあったとのこと。「庁舎レイアウトも関連していますが、他部門との連携がスムーズになりました。市民を待たせることなくスムーズに職員が入れ替わりながらワンストップ対応できていますし、庁舎全体でみても業務量が効率化されたのではないでしょうか。システムから出力される手続書(※住民に対して必要な手続を案内する文書)をうまく使って、ワンストップ総合窓口を機能的に運用できていると思います。」(新木様)
 市民課の事務にも変化がありました。「何といっても履歴訂正が激減したことによる事務の軽減は大きかったです。システムを利用した住民異動届の作成やチェック方法の効率化によって、非常に手間がかかる履歴訂正がほとんど発生しません。また、システムを利用してどの職員でも同じ品質で問診や事務処理を進めることができ、実際に受付を行う第一線窓口は非常勤職員のみで対応できています。」(吉村様)「これまでは戸籍の届出書に加えて同じような内容の住民異動届を書いてもらう必要がありましたが、現在ではシステムから出力されるので市民の書く手間がなくなりました。システムから出力される手続書や住民異動届の項目を工夫して、手続に間違いがないようにしています。」(佐藤様)


庁舎1Fレイアウト(左上部分が総合窓口設置エリア)

今後の展望

 今後の展望についてもお話しいただきました。「システム設定や窓口職員用の事務理解のためのマニュアル化など、すぐに対応できるものは日々改善しています。全体的な改善点の洗い出しを進めており、年内には全庁で課題の洗い出しを行う予定です。大きなポイントとしては繁忙期の対応だと考えています。」(吉村様)「将来的な職員数の減少も見据えておく必要があります。住民異動に関わるライフイベントだけではなく、それ以外の手続も定型化、マニュアル化してシステムの機能をうまく利用していくこともできると思います。今後はデジタル手続の増加やマイナンバーカードの普及により、事務がさらに複雑化していくことが想定されます。限られた職員数でこの流れに対応するためにも、事務の見直しやIT利活用がさらに求められると考えています。」(新木様)

 ワンストップ総合窓口の取組を成功させ、「人が輝き 活力あふれる 日本の宝島 “天草”」の魅力がさらに増しています。天草市の新たな取組を楽しみにしたいと思います。

天草市
市民生活部 市民課

(後列 左から)
参事 玉田 純子様
主事 中山 愛子様
課長 新木 銘子様

(前列 左から)
係長 吉村 一弘様
係長 佐藤 信吉様


妙見浦

イルカウォッチング


海上マリア像

﨑津教会


(注)記載している職名等の情報については、令和元年11月現在のものです。