【第43回】行政事務近代化九州ブロック研究会のご報告

2008年10月10日(金)に【第43回】行政事務近代化九州ブロック研究会を開催し、
79団体、のべ189名の皆様にご参加いただきました。
この場を借りて厚く御礼申し上げます。

※ご協力いただきましたアンケート集計結果につきましては
各講演の「プロフィールと感想を読む」よりご確認ください。

タイムテーブル

9:30 【受付】9:30~10:00 【場所】アクロス福岡(福岡市)
10:10~ 【講演1】
地域活性化へ向けた地方自治の変革
福岡 政行 [白鴎大学教授]
13:20~ 【講演2】
元気な地方を創る具体的な処方箋
穂坂 邦夫 [NPO法人 地方自立政策研究所 理事長]
15:00~ 【講演3】
大野城市のNPMと官民連携・協働による新しい公共サービスの展開について ~人口94,000人に対し市職員数が384人のからくり~
見城 俊昭 [大野城市 企画政策部 自治経営推進課 課長]

【第43回】行政事務近代化九州ブロック研究会 レポート

【講演1】 10:10~12:00
地域活性化へ向けた地方自治の変革

福岡 政行 [白鴎大学教授]
地方の借金200兆円。地方公務員給与関係費25兆円(約304万人)、地方税総額35兆円。
税収の70%が職員給与である。「一つの仕事を3人~5人でしている」(元町長)との声もある。

しかし、<赤字覚悟>で地域医療・福祉・教育をやらなければならない。行政の論理は、「光の
あたらないところに光(税金)を!」である。効率・採算だけでの論理は経済のそれである。

<地域活性化>は、決して簡単な事ではない。人口減少時代は東京関東圏と名古屋周辺以外
は、県庁所在地でも大苦戦を強いられている現状である。<マチナカ>も郊外ショッピングモール
もそれは同様である。
“身の丈”にあった街づくり。<マチナカ>にシルバーを集めて、バリアフリーの中で歩いて生活
してもらう。中山間地の生家・ふるさとは、四季それぞれで訪れる場所となりつつある。このような
変化に人々が対応できるのか。

安心・安全の街づくりこそ地域活性の原点である。意識の変化こそ地方自治体の最優先課題では
ないか。これらを踏まえ、原題に挙げられている「地域活性化へ向けた地方自治の変革」について
ご講演頂きます。
講演者のプロフィールと感想を見る

1945年東京都生まれ。
白鴎大学法学部教授、立命館客員教授。政治学専攻。
「アシスト(ジャパン)の会」事務局長。
1973年早稲田大学大学院政治学研究科>博士課程修了後、明治学院大学法学部非常勤
講師、76年駒沢大学法学部専任講師、同学部助教授を経て現職。
「100の言葉より1度のフィールドワーク」をモットーに現場を見る事の大切さを訴え、全国各地を歩いて得た
生のデータに基づく実証政治学を研究。様々なボランティア活動にも積極的に関わり、これまで阪神淡路
大震災被災者はじめ、三宅島被災者、新潟中越地震被災者やカンボジアの子供たちへの支援活動をゼミ
学生とともに行っている。 ※「Book著書紹介情報」より
福岡政行研究室

「地域活性化へ向けた地方自治の変革」講演のご感想

  • 前例にとらわれすぎる自治体全般に対して「『変える勇気』を持つことが成功のポイントだ」と、 わかりやすく民間事例を通じて説明していただいて、とても良かったです。
    今後の日本そのものへの見通しの暗さと対応策についてもずばり言っていただいたのも参考になりました。
  • 金融危機が実体経済へ及ぼす影響、さらに地域社会が今後どうあるべきかについて話を伺う事が出来てよかった。 一方、今後の地域活性化については相当に困難であろうという認識も持った。
  • 日本の課題がよくわかった。また、全国的な視点で見た地方の課題についても事例を入れながら、テンポよく話していただきわかりやすかった。
  • 幅広い観点からの提案があった。 要は、実態の認識と変革をためらうことなく進めていく努力であると感じた。
  • 時代の政治・経済情勢に関する話が主であり、 地方自治に関する具体的な取り組みや参考事例等の話が聞けなかった事に物足りなさを感じた。
【講演2】 13:20~14:50
元気な地方を創る具体的な処方箋

穂坂 邦夫 [NPO法人 地方自立政策研究所 理事長]
1.自治体は破綻しない
 (1)確保される収入と様々な再生手段
 (2)成長期から成熟期への転換を図る
 (3)分権の意義を考える「一極集中の排除と公立系病院のあり方」
 ◎自治体は私企業と異なり、破綻などするはずがない。一定の収入は確保され、地方財政健全
   化法にしても3年間の猶予期間がある。前例主義と依存体質を排除し、自律機能を発揮して
   成熟社会に対応する自治体と自治体財政を構築することが必要である。
   また必要不可欠な分権の意義についても理解を深めることが重要である。

2.自立する自治体への多様なマニュアル
 (1)住民と地域に開かれた自治体を創る
 (2)事業執行機能集団を政策立案機能集団に変える
 (3)必要な行政サービスの確保と負担増をしない健全な財政手段を確立する
 ◎元気な自治体を創るためには交付団体であっても財政的な自立を図らなければならない。
   そのためにはオーナーである住民や地域に開かれた自治体を確立するとともに役所体質の
   転換と様々な施策の展開を図ることが重要である。

3.自治体を活用する地域の振興「地域に密着する消費型大企業を活用する様々なマニュアル」
 (1)住民との協働による税の還元と雇用の創造
 (2)NPOや企業の活用による地域の振興と地域機関との連携
 (3)地域ブランドの確立と消費者との直結による地域産業の振興
 ◎自治体は地方における最大規模の消費型企業である。この特異な企業の元気化を図るととも
   に地方の活性化に活用することが求められている。
   さらに地場産業の振興を図るためには行政とJA、生産者の連携による地域ブランドの確立と
   インターネットを活用した消費者との直結による販路の拡大を図らなければならない。
講演者のプロフィールと感想を見る

1941年、埼玉県生まれ。
埼玉大学経済短期大学部卒。埼玉県職員、足立町(現・志木市)職員を経て、志木市議会
議長、埼玉県議会議長を歴任。
2001年、志木市長に就任し、全国で初めての公立小学校(低学年)への「25人程度学級」の
導入や不登校状態にある児童に学校の外でも教育の機会を与える「ホームスタディ制度」、
市やNPOなど有償ボランティアが自治体の業務を担う地方自立計画「行政パートナー制度」などの先進的な
地方行政改革を推進してきた。
2005年6月30日の任期満了にともない退任。
2005年7月より全国の市民団体や地方議員、有識者とともに地方の自立を目指すNPO「地方自立政策研究所」
理事長。
2008年4月より官・学・民共同の研究学会として昭和59年に設立された「地方自治経営学会」会長に就任。
主な著書に『どの子も一番になれる』(幻冬舎、2004年)、『市町村崩壊』(スパイス、2005年)、『教育委員会廃止
論』(弘文堂、2005年)『地方自治 自立へのシナリオ』(東洋経済新報社、2008年)『自治体再生への挑戦』
(ぎょうせい、2008年)。
NPO法人 地方自立政策研究所

「元気な地方を創る具体的な処方箋」講演のご感想

  • 地方は国(官僚)よりも優秀である。励まされる言葉であった。意思決定過程のご説明が勉強になった。
  • ご自身の経験に基づくお話でとてもわかりやすかったです。 公務員として絶対に忘れてはならないマインドを「基本特性」としてご教示いただき、これからの自分自身のあり方について改めて考えさせられました。
  • 地方公共団体の現場、特に首長、議員、職員とどの立場も経験された強みが十分に発揮された内容であり、今後のあるべき姿が確認できたので大変良かったと思います。
  • 種々の役職を経られた経験談からの発想転換は「目からウロコ」の感があった。
  • 職員の工夫によって元気のある基礎自治体を創っていこうというエネルギーに元気をいただきました。
【講演3】 15:00~14:30
大野城市のNPMと官民連携・協働による新しい公共サービスの展開について ~人口94,000人に対し市職員数が384人のからくり~

見城 俊昭 [大野城市 企画政策部 自治経営推進課 課長]
道州制が議論されている中で、地方分権改革が目指す分権型社会では、 これまで以上に自治体と住民による自己決定・自己責任の原則に基づくまちづくりが重要と なり、必然的に“真の意味での自治力”を備えた住民自治の充実が求められます。
地域に暮らし、自らの地域のことを一番よく知っている市民一人ひとりが、地域社会に対してできること、 しなければならないことは何か、という住民自治の原点に立ち返り、 「自分たちの地域は自分たちでつくる」という自治意識を高めていく環境づくりを進めなければなりません。

このことから大野城市では、住民自治のさらなる充実をはかるため、従来の行政システムから、 「地域の課題を地域で解決できる」ことを支援する新たな地域経営システムへの転換を進めています。
今後はより一層の進捗を図るため、市民と行政がそれぞれの責任と役割分担のもと、 お互いが持つ特性を活かしながら、地域の課題を迅速かつ効果的に解決できる新たな手法として 「パートナーシップの構築」と「都市内分権の推進」という新たな仕組みを柱として付加し、 市民が主役の地域経営を具体的に展開することとしています。

また、庁内においても「庁内分権の推進」をより一層強化するため、「経営の最適化」をテーマに、 多面的な行政評価を行うために構築した統合型行政評価診断システム「公共サービスDOCK事業(通称「市役所ドッグ」)」 (D=だれでも、O=オープンに、C=チェックできる、K=環境づくり)により、 質の高い行政サービスの提供と効率的な行政経営を進めています。

さらに、業務システムを共通基盤(地域情報プラットホーム連携)上に構築することにより、 システム間の連携が可能となることから、病院や介護施設、小中学校、幼稚園、保育所、民間企業、 税理士等との安全で安心な情報のやり取りによる共有化を目指すなど電子市役所づくりを具体的に進めています。

なお、この官民連携・協働事業の推進に併せて、大野城市と複数の自治体(都道府県を含む賛同を得た自治体)が連携しあって、 それぞれが開発した業務システムを共同利用する仕組みづくりを提案し、広く呼びかけます。
これにより、市町村にとって大きな負担となっている膨大なシステム開発費が大きく縮減されるとともに、 証明書の発行事務や児童手当、国民健康保険等の事務の連携も可能になることから、 市民(住民、企業等)の利便性とサービスの質の向上が図られることになります。
講演者のプロフィールと感想を見る

1955年生まれ。現在、福岡県大野城市企画政策部自治経営推進課長。
(前総務部財政課長)

《主な取り組み》
・民間の経営理念を取り入れた大野城方式によるNPMを全庁的に展開。
・予算の枠配分方式に連動した大野城市独自の事務事業の事後評価システム「フルコスト計算書診断」と事前
評価システム「実施計画診断」を実施。
・平成20年度から、新たに事務事業の事中評価システム「初期診断」と自治体EA(全体最適化)とBPR(業務の
再構築)による「業務・システム最適化診断」を加えた統合型行政評価診断システムに移行。
・部長をグループ会社の社長、課長を子会社の社長とする庁内分権による行政経営を推進。
・市内4地区のコミュニティセンターを核に、統合補助金制度や地域まちづくり支援制度の導入等による都市内
分権(地域との協働)を推進。
・ワンストップサービスをテーマに、全国初となる電話交換一体型のコールセンターと民間会社と連携したワン
ストップ対応の総合窓口を開設。
・「ITは行革の最大のツールである!」をモットーに、「福岡県電子自治体共通化技術標準」に基づく共通基盤を
導入し、地域情報プラットホームに準拠したオープンスタンダードのシステム構築による電子市役所の実現と
シンクライアントシステム導入による安価でセキュアな市役所IT環境を実現。
・『官民連携・協働による「新しい公共」の構築構想』を策定し、子育て、医療、介護等の福祉部門や税理士、
企業等の税関係者との官民連携・協働化に向けた取り組み(ワンストップサービスのセカンドステージ)に
着手。

「大野城市のNPMと官民連携・協働による新しい公共サービスの展開について ~人口94,000人に対し市職員数が384人のからくり~」講演のご感想

  • 「すごい」の一言である。隣町とは思えない。ただ、20年程準備をしていらっしゃった部分もあるとのことで、やはり改革には苦労がつきものなのだろう。
  • フルコスト計算、予算編成、人事評価と市民満足度向上のため、うまくつなげた成功例である。課題はあるが各自治体が大いに参考になる話であった。
  • 非常に刺激になった。一度大野城市役所を見てみたいと思う。職員の方の話も聞いてみたい。
    同じ事を本市で行なった場合どんな問題があるかなど、今後考えながら出来る事を実行していきたいと思う。
  • 新しい協働の形、公共の形が刺激になった。
  • 大野城市の状況はある程度知っていたつもりだったが、ここまで進んでいるのか!
  • 具体的な実践事例はとても参考になった。 普段自分が考えていたような事がシステム化されており、そのプロセスも含め理想的だと感じた。
過去の開催情報